宅地建物取引業の免許取得の要件について②

専任の取引士について

まず宅地建物取引士(取引士)ですが、宅地建物取引士資格試験に合格後、取引士資格登録をし、

取引士証の交付を受けている方をいいます。

この「専任の取引士」は、業務を従事する事務所ごとに「専任」が必要となります。

また、専任の取引士には「専任性」が求められ、こちらは「常勤性」(→当該事務所に常勤する)と

「専従性」(専ら宅建業の業務に従事する)の2つの要件が必要です。

例えば、他法人の代表取締役、代表者又は常勤役員を兼任していたり、

他の会社に所属している会社員、公務員の方、社会通念上、宅建業者の事務所で勤務できない、通勤が難しいなどの方は専任の取引士に就任はできません。

加えて、申請会社の監査役の方も申請会社の専任の取引士を兼任することはできません。

そして、この専任の取引士は一つの事務所において、業務に従事する者の5名に1名の割合を設置することが義務付けられております。

新規で申請を行う際の注意点として、専任の取引士は、「取引士資格登録簿」に勤務先名が登録されていない

状態であることが必要ですので、転職などで、以前の職場の登録が残ってしまっている場合には、

宅建士の登録変更申請を事前に済ませておく必要があります。

事務所について

事務所とは、本店や支店のほか、業務を継続的に行える機能を持ち、社会通念上も事務所として認識される程度の形態を備えていることが必要です。

このため、一般の戸建て住宅、集合住宅の一室(一部)を事務所として使用すること、一つの事務所をほかの法人等を使用すること、仮設の建築物を事務所とすることは原則求められておりません。

※事務所の設備としては、対面可能な応接セット、従事する人数分の机・椅子を含む執務場所、固定電話の設置が求められます。

しかし、一つの事務所を他の法人と使用している場合でも、双方の事務所の専用部分を通ることなく出入りができ、会社ごとに固定式の間仕切りがあるなどの場合は、事務所として認められることがあります。

戸建て住宅の場合でも、事務所専用出入口があり、また専用入り口がない場合でも、玄関からほかの部屋を通らず事務所に行けるなどの場合も認められる場合があります。

このような要件がありますので、レンタルオフィスでの事務所を検討される場合は、契約前に要件を満たすことが可能かを確認することが必要です。(専有スペースがある、自社の個室内で接客ができるスペースがあるなど)

(東京都宅地建物取引業免許申請の手引より 抜粋)

また、注意する点として、支店として宅地建物取引業を営む場合、本店で宅地建物取引業を営んでいなくても、

本店も事務所として扱われますので、事務所の要件を満たす必要があります。

法人の本店を代表者の自宅としているなどの場合は事前に確認が必要です。

要件を満たすことができない場合は、本店の移転なども検討する必要があるかと思います。

加えて、本店にも営業保証金の供託及び専任の取引士の設置が必要となります。

営業保証金の供託

取引上の事故が発生した際に、取引をした者の保護の観点から、不動産の取引の相手側が損失をきちんと補償することができるために、「営業保証金」を供託することが求められています。

■供託金の額  主たる事務所(本店)につき1,000万円  その他の事務所(支店)1つにつき500万円

主たる事務所の最寄りの供託所に金銭などを供託することになり、供託したことを免許権者に届出をした後でないと、事業開始はできません。

保証協会への加入

実際は、営業補償金の供託を行わず、保証協会へ加入することにより免許申請が可能です。

弁済業務保証金分担金を支払い、保証協会へ加入すれば、営業保証金の供託は不要となります。

■弁済業務保証金分担金の納付額  

主たる事務所(本店)につき60万円  その他の事務所(支店)1つにつき30万円