宅地建物取引業者における保証協会の選び方と比較

宅地建物取引業を営む際、営業保証金を供託しない場合には、弁済業務保証金分担金を支払い保証協会へ加入することで、開業にかかる費用を大幅に削減できます。
現在、日本には2つの保証協会が指定されていますが、どちらを選ぶべきか迷う方も多いのではないでしょうか。本記事では、保証協会の基本情報やそれぞれの違い、費用、加入方法について詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

保証協会とは

保証協会とは、宅地建物取引業法に基づき、宅建業者が消費者保護や取引の信頼性を確保するために加入する団体です。宅建業者が取引において万が一トラブルを起こした場合、苦情解決や消費者への損害賠償、補償を行う役割を担っています。

通常、宅建業を開業する際には営業保証金として1,000万円(支店は1店舗500万円)を供託する必要があります。しかし、営業保証金を供託せずに、弁済業務保証金分担金(本店60万円、支店1店舗あたり30万円)を保証協会へ支払い加入することで、負担を軽減することができます。

現在、日本には以下の2つの保証協会があります:

  1. 全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)
    • マスコットキャラクター:ハト
  2. 不動産保証協会
    • マスコットキャラクター:ウサギ

2つの保証協会の違い・比較

それぞれの保証協会には特徴があり、業者のニーズや地域性に応じて選択することが重要です。

項目全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)不動産保証協会
シンボルハトウサギ
シェア率約80%約20%
提供サービス各種研修会、広報活動、保証業務、レインズの使用など各種研修会、広報活動、保証業務、レインズの使用など

費用について

費用項目全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証不動産保証協会
入会金20万円~50万円程度20万円~50万円程度
年会費1万円~5万円程度1万円~5万円程度
供託金代位弁済金60万円60万円

各協会では、入会金の割引や開業応援パックなどを提供している場合もあります。地域や時期によって金額が異なることがあるため、事前に確認することが重要です。一般的に、不動産保証協会(ウサギ)の方がやや費用が抑えられる傾向にあります。

提供サービスについて

各保証協会が提供するサービスには以下のような特徴があります。

  • 全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)
    • 宅建業者向けの研修会やセミナーの実施
    • 広報活動を通じた業界全体の信頼性向上
    • 消費者トラブルに対応する保証業務
    • ハトをモチーフにした親しみやすい広報活動
  • 不動産保証協会
    • 法律相談窓口の設置
    • 宅建業者向けの専門的なサポート体制
    • 消費者からの苦情処理の迅速化
    • ウサギのマスコットを活用した地域密着型の活動

加入業者の割合は全宅保証(ハト)の方が多いですが、提供されるサービスに大きな違いはありません。

加入方法

保証協会への加入手続きは以下の手順で進めます。

  1. 申請書類の準備
    • 宅建業免許の写し
    • 会社概要や役員名簿
    • その他必要書類
  2. 申請書の提出
    • 所属を希望する保証協会の窓口に提出します。
  3. 審査と承認
    • 協会が書類や事務所の審査を行い、承認されると加入が認められます。
  4. 費用の支払い
    • 入会金や年会費を納付します。

加入手続きは1~2か月程度で完了します。費用の支払い後、保証協会が法務局へ弁済業務保証金を供託し、その後、行政庁より宅建業免許を受領する流れになります。

まとめ

保証協会への加入は、営業保証金を供託しない方法を選択した場合に必須となるだけでなく、研修や他社との交流機会、レインズの使用が可能になるなど、宅建業者としてのメリットも大きいです。

全国宅地建物取引業保証協会と不動産保証協会、それぞれの特徴や費用を理解し、自社のニーズに合った協会を選びましょう。

アクティオパートナーズ行政書士事務所では、保証協会への加入手続きや書類作成のサポートを行っています。お気軽にお問い合わせください。