4か月間の在留資格「経営管理ビザ」とは

はじめに

外国人が日本で会社を設立し、経営活動を行うためには「経営管理ビザ」が必要です。通常、このビザは1年または3年の在留期間が設定されていますが、新たに事業を立ち上げる外国人向けに、4か月間の短期ビザも用意されています。本記事では、4か月の経営管理ビザの特徴や取得の流れ、1年ビザとの違いについて詳しく解説します。

4か月の経営管理ビザとは

4か月の経営管理ビザは、日本で新たに事業を開始しようとする外国人が、会社設立前の準備期間として利用できる在留資格です。

短期滞在者の場合、住民登録することができず、日本に住所がないことから、銀行口座を開くこともできませんし、事務所を借りることもできません。しかし、このビザを取得することで、来日後に住民登録を行い、銀行口座の開設や事務所の賃貸契約、会社設立登記など、事業開始に必要な手続きを進めることが可能です。

なぜ4か月なのか

中長期在留者となって住民票が作成される最短の月単位の期間が「4か月」であるため、この期間が設定されています。

4か月のビザが設定されている背景には、外国人起業家が日本で事業を開始する際の初期準備を円滑に進めるための配慮があります。通常の1年ビザでは、申請前に資本金の日本国内口座への入金や事務所の確保など、多くの準備が必要とされます。しかし、海外からこれらを行うことは難しく、現地でのサポートが不可欠でした。4か月のビザを活用することで、来日後にこれらの準備を自ら進めることができ、起業のハードルを下げる効果があります。

メリット・デメリット

メリット

  • 住民登録と銀行口座開設が可能:在留カードを取得することで、住民登録や銀行口座の開設が可能となり、資本金の入金や日常の金融取引がスムーズに行えます。
  • 事務所の確保が可能:ビザ取得後に事務所の賃貸契約を結ぶことができ、物件選定や交渉を自ら行えます。
  • 法人設立前に在留資格を得られる:法人設立手続きなどを自ら行うことができます。

デメリット

  • 在留期間の短さ:4か月以内に会社設立や事業開始の準備を完了し、すぐに1年ビザへの更新手続きを行う必要があり、手続きの手間がかかります。
  • 銀行口座開設の制限:一部の金融機関では、4か月の在留資格での口座開設が難しい場合があります。会社設立の資本金入金が難しくなる可能性があります。
  • 賃貸契約の制限(事務所・住居):短期ビザの入居者との契約を避けるケースもあります。ただし、最近では契約可能なレンタルオフィスなどもあります。

 1年の経営管理ビザとの違い

  • 在留期間:4か月ビザは短期の準備期間を目的としており、1年ビザは事業運営を前提とした長期滞在が可能です。
  • 申請時の要件:1年ビザは申請前に会社設立や事務所の確保が求められますが、4か月ビザではこれらの準備を来日後に行うことができます。

取得の流れ

  1. 短期滞在での日本への入国し、会社設立、ビザ取得の準備などを行う。
  2. 事業計画書の作成:具体的な事業内容や資金計画を詳細にまとめます。
  3. 定款案の作成:会社設立の基本事項を定めた定款を作成します。
  4. 在留資格の申請:必要書類を揃え、入国管理局に4か月の経営管理の在留資格認定証明書交付申請を行います。
  5. 取得した在留資格認定証明書を基にビザを取得し、日本に入国します。

入国後の手続き

  1. 住民登録:日本での住所を登録し、在留カードを取得。
  2. 銀行口座開設:資本金の入金や事業資金の管理を行うための銀行口座を開設。
  3. 事務所の賃貸契約:会社の拠点となる事務所を契約。
  4. 会社設立登記:法務局に会社設立の登記を申請。
  5. 在留資格の更新手続き:4か月以内に事業を開始し、経営管理の在留資格の更新手続きを行う。

申請手続きに必要な書類

4か月の経営管理ビザを申請する際には、以下の書類が必要となります。

  • 事業計画書:具体的な事業内容、収支計画、組織体制などを詳細に記載。
  • 定款案:会社の基本情報や運営方針を定めた書類。
  • 資金証明書:資本金として予定している金額の出所を証明する書類。
  • 事務所の候補地に関する資料:賃貸予定の物件情報や契約予定書類など。

これらの書類を準備し、入国管理局へ提出します。審査期間は通常1~3か月程度とされています。

まとめ

4か月の経営管理ビザは、外国人起業家が日本で事業を開始する際の準備期間をサポートする重要な在留資格です。住民登録や銀行口座開設、事務所契約などが可能となる一方、短期間で事業を立ち上げ、在留資格の更新手続きを行う必要があるため、計画的な準備が求められます。申請を検討している方は、早めに必要な書類を整え、スムーズな手続きを進めることが重要です。

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