会社設立で必ず押さえたい!起業準備と定款作成のポイント

株式会社や合同会社などを設立する際には、会社名や事業目的、本店所在地といった基本的な項目を決定することが求められます。これらの項目は会社のイメージや将来の成長に大きく影響を与えるため、慎重な検討が必要です。この記事では、会社設立を検討する方に向けて、起業準備時に押さえておきたい各項目について具体例を交えながら解説します。

会社名を決める際の注意点

会社名(商号)を決めるときは、以下のポイントに注意が必要です。会社名は対外的な印象を左右する重要な要素であるため、会社のイメージや業務内容に適した名称を選ぶことが望ましいです。

  • 「株式会社」や「合同会社」の記載
    会社名には「株式会社」や「合同会社」といった法人種別の名称を必ず含めなければなりません。例えば、「山田商事株式会社」や「ABC合同会社」のように、会社種別を入れる必要があります。なお、名称内の位置に制限はありませんが、一般的には名前の前か後に配置するのが一般的です。
  • 使用できない名称
    特定の業種(例:銀行、保険、信託など)では、法令によりその業種に関連する用語(例:「銀行」「生命保険」「信託」など)を商号に含む必要があります。それ以外の会社では、これらの用語を使用してはならず、誤認を招く表現は禁じられています。また、知名度のある企業(例:「トヨタ」「ソニー」など)に類似した名称は、他社のブランドを誤認させる可能性があるため使用できません。
  • 同一住所での重複
    同一住所に同一の商号を使用することは認められません。バーチャルオフィスを利用する場合など、同一住所に多くの企業が集まるケースでは、商号の確認を事前に行う必要があります。
  • 利用可能な文字・記号
    会社名には、漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、アラビア数字、特定の記号(例:& ‘ , – . ・)が使用可能です。記号は区切りの符号として使えますが、商号の先頭や末尾には利用できません(例:「AI・IT合同会社」は可、「&AI株式会社」は不可)。
  • 公序良俗に反する商号は使用不可
    不適切な表現や社会通念上ふさわしくない言葉は商号に使用できません。

事業目的を決める際の注意点

事業目的を定める際には、適法性・営利性・明確性を満たし、会社の現状と将来の事業展開を考慮することがポイントです。

  • 適法性
    事業目的は法に違反しない内容であることが求められます。例えば、違法行為や公序良俗に反する表現(麻薬取引、人身売買など)は不可です。
  • 営利性
    株式会社や合同会社は営利を前提に設立されるため、ボランティアや非営利活動を目的とする内容は記載できません。例えば、「NPO活動」を目的とする場合は、非営利法人の設立が適しています。
  • 具体性・明確性
    事業目的は具体的かつ明確である必要があります。例えば、「ITコンサルティング」「アパレル商品の販売」など、第三者が理解できる表現を心がけます。
  • 許認可が必要な業務への配慮
    許認可が必要な業務(例:旅行業、飲食業など)を行う場合、その業務内容を明確に定款に記載する必要があります。例えば「旅行業」や「不動産業」を目的にする場合、許認可の取得に支障がないよう注意が必要です。

また、現在行う事業に加えて将来的な事業も含めて記載しておくと、事業拡大時に定款の変更手続きを省略できます。ただし、目的が多すぎると事業の主軸が分かりにくくなり、金融機関からの融資などで不利になる場合もあるため、バランスが重要です。

※事業目的は、会社設立後も定款変更と登記手続きを経て追加・削除が可能です。

本店所在地を決める際の考慮点

本店所在地は、会社の信用やコストに影響があるため慎重に決定する必要があります。以下に本店所在地の決定方法を説明します。

  • 賃貸事務所を選ぶ場合
    初期費用や家賃がかかりますが、特に対外的な信用が得やすく、銀行取引や企業間商談には向いています。例えば、東京都内のオフィスビルに本店を構えると、取引先に安定感を与えられますが、家賃が高額になる場合があります。
  • 自宅を本店にする場合
    自宅を本店所在地とすることで初期コストを抑えられますが、登記上自宅住所が公開されるため、プライバシーの懸念が伴います。個人事業主から法人化する際、プライバシー面でのデメリットが許容できる場合は自宅を本店とするのも一つの方法です。
  • レンタルオフィスを利用する場合
    レンタルオフィスは賃貸事務所に比べてコストが抑えられ、設備が整っていることも多いため、スタートアップ企業やコスト重視の会社に適しています。たとえば、シェアオフィスを本店所在地に選ぶと、契約時の負担が軽く、共益費や光熱費も抑えられる場合があります。ただし、許認可事業を行う場合、レンタルオフィスが適していない場合もあるため、事前に確認が必要です。

まとめ

会社設立に必要な準備事項には、会社名、事業目的、本店所在地など、将来の事業活動や信用に関わる重要な項目が含まれています。これらの各項目を慎重に検討し、適切な定款作成を行うことで、スムーズな会社設立の準備が整うでしょう。

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