在留資格更新・変更で必要な「狭義の相当性」とは?

在留資格を更新・変更する際には、在留資格変更や在留期間更新について「適当と認めるに足りる相当の理由があること」が求められています。(=狭義の相当性)

この要件を満たしているかどうかが審査結果を大きく左右するため、その内容と具体的なポイントを理解することが必要です。本記事では、「協議の相当性」とは何か、どのような場合に必要となるのか、そして具体的な審査基準について詳しく解説します。

「協議の相当性」とはなんでしょうか?

「協議の相当性」とは、在留資格更新や変更申請を入国管理局が審査する際に、申請者が日本での在留活動や生活状況において適切である(特別な問題がない)かどうかを判断する基準のことです。具体的には、法令順守、安定した生活基盤、社会的な信頼性などが評価されます。
相当性がないと判断されてしまうと、在留資格の更新、変更が認められないことになるので、重要なポイントとなります。

どのような場面で「協議の相当性」が求められるのか

「協議の相当性」は以下のような手続きの際に確認されます。

  • 在留資格の更新申請時: 引き続き日本に在留するための基準を満たしているか確認されます。
  • 在留資格の変更申請時: 新しい活動内容や生活環境に対して、申請内容が妥当かどうかが審査されます。

「協議の相当性」の具体的な内容

出入国在留庁は「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」の中で、「在留資格に該当していること」「上陸基準に適合していること」の他に「相当性」の審査のポイントを以下の内容で公表しています。

(1) 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと

  • 申請者が所持する在留資格に基づく活動(例: 技術・人文知識・国際業務ビザの場合、契約先企業での専門的な業務従事)を適切に行っていたかを確認します。
  • 不適切な例:
    • 許可された範囲を超えた就労活動(例: 飲食店でのアルバイトなど)。
    • ・失踪した技能実習生
    • 除籍。退学後も在留を継続していた留学生
    • 長期間にわたり資格外活動を行っていた場合は、更新や変更が拒否される可能性が高まります。

(2) 素行が不良でないこと

  • 素行不良とは、法令に違反して刑罰を受けた履歴や、重大な社会的問題を引き起こしたことを指します。
  • 具体的な基準:
    • 懲役または禁錮刑: 刑の執行終了、または執行免除から10年を経過していない場合は、不許可となる可能性が高い。
    • 罰金刑またはこれに相当する刑: 執行終了または執行免除から5年を経過していない場合も、同様に不許可のリスクがあります。
    • 軽微な違反: 道路交通法違反の罰金程度であれば、許容される場合が多いが、反復している場合は考慮される。

(3) 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

  • 申請者が日本での生活を他者に依存せずに営む能力があるかを確認します。
  • 審査のポイント:
    • 資産: 預金残高証明書などで、十分な資産を保持していることを証明。
    • 技能: 雇用契約や職務内容が、安定的な収入源を保障するものであること。
    • 生活保護受給がある場合、在留資格の更新・変更が難しくなることがあります。

(4) 雇用・労働条件が適正であること

  • 雇用者が労働基準法などを遵守しているかが審査対象となります。
  • 適正の具体例:
    • 給与が最低賃金を上回っている。
    • 社会保険への適切な加入が行われている。
  • 確認資料:
    • 雇用契約書、給与明細書、社会保険の加入証明書など。

(5) 納税義務を履行していること

  • 申請者が所得税、住民税、社会保険料を適切に支払っているかが審査されます。
  • 必要な書類:
    • 納税証明書(所得税、住民税)。
    • 未納がある場合、分割払いの計画書や証拠を提出することで許可される場合もあります。

(6) 入管法に定める届出等の義務を履行していること

  • 在留カードの記載事項(住所変更など)の届け出が期限内に行われていることが条件です。
  • ポイント
    • 住所地の変更届出を怠ると、罰則や更新拒否の原因になる可能性があります。
    • 場合によっては「過去の不履行を反省し、今後遵守する旨」を説明する必要があります。

まとめ:適切な対応でスムーズな更新・変更を目指そう

在留資格の更新や変更において「協議の相当性」は非常に重要なポイントです。適切な準備と法令順守により、審査をスムーズに進めることが可能です。

在留カードの変更漏れや税金の未納などがある場合は直ちに対応し、スムーズな在留資格の手続きを行いましょう。

疑問点や不安がある場合は、専門の行政書士に相談することで安心して手続きを進めることができます。

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